新電力のイーレックス、最大級のバイオマス発電建設10万世帯分、170億円で大分に


日経新聞電子版2014/8/7 00:57

 新電力中堅のイーレックス(東京・中央)は国内最大級の発電能力を持つバイオマス(生物資源)発電所を建設する。 大分県佐伯市にある太平洋セメントの工場の遊休地に約170億円を投じ、2016年秋に稼働する。
16年からの電力小売り全面自由化に向け、競争力の高い電気を生み出す電源としてバイオマス発電所への投資を増やす。
 イーレックスは短資会社などが1999年に設立した新電力。日立製作所や東芝、前田建設工業なども出資する。中小ビルなど約2千件の顧客に電力を販売している。
 新設する発電所の能力は5万キロワット。数十万キロワットの出力を持つ大型の火力発電所などに比べ小さいが、 バイオマスとしては三井造船などが千葉県で稼働中の発電所を上回り、国内最大級となる。
 燃料の9割は輸入するヤシ殻を使い、石炭を混ぜて燃やす。一般家庭約10万世帯分の電気を賄う。電力販売収入で数年での投資回収を見込む。
 インドネシアなどのパーム油生産工場から出る廃棄物のヤシ殻を燃料にする。バイオマス発電は間伐材や製材所から出る端材を燃料にすることが多く、 大規模発電に必要な安定調達が難しかった。安価なヤシ殻を大量輸入することで大規模発電を可能にする。 大分県内の別の地点に、ヤシ殻燃料を常時10万トン程度備蓄する基地も新設する。
 イーレックスは再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度を活用。同社が発電事業子会社から電力を買い取る形にする。 再生エネ普及のために電気料金とは別に企業や家庭が負担している賦課金からイーレックスに交付金が入る。このため実質的に発電コストを低く抑えられ、 電力の販売価格を石油火力や液化天然ガス(LNG)火力より安くできる。
 イーレックスは7月末、太平洋セメントから約8%の出資を受けた。過去に太平洋セメントから高知市の工場内の石炭火力発電設備を買い取り、 バイオマス発電所に転用した実績がある。東北や九州などでも5年以内に2~3カ所の大型バイオマス発電所を建設。現在150億円強の売上高を500億円に引き上げる方針だ。
 バイオマス発電は固定価格買い取り制度の導入後、全国で開発が進む。 制度開始前の12年6月末時点で国内バイオマス発電の累積能力は約230万キロワットだったが、 同年7月から今年3月末までに新たに156万キロワット分の設備が経済産業省から認定された。認定量は風力発電を上回る規模だ。
 ▼バイオマス発電 木くずなど生物由来の物質を燃料とする、二酸化炭素(CO2)を排出しない再生可能エネルギーの一つ。 太陽光発電や風力発電が気象条件に左右されるのに対し、昼夜を問わず高い稼働率で安定発電が可能。

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